養育費の文例と書き方をわかりやすく解説
【目次】
1.養育費の文例と書き方
‐養育費を払わないという合意について
‐養育費支払と再婚について
‐離婚チェックシートを利用しませんか?
2.養育費の相場はいくら?5万円?4万円?
‐養育費算定表通りに決めないといけない?
3.年収600万円の相場の計算方法
4.年収300万円の相場の計算方法
5.養育費の支払率を上げる方法
6.離婚協議書や公正証書を作るか悩んでいる方へ
先ず養育費の相場の計算方法をお伝えする前に、
離婚協議書や離婚公正証書を作る時に役立つ文例と書き方を解説します。
離婚協議書と離婚公正証書全体の文例もあります。詳しくはこちらです。
(※ 実務で使っている15個の文例と書き方なので是非ご覧下さい。)
離婚協議書や離婚公正証書を作る予定がない方は、
次の2.養育費の相場いくら?は5万円?4万円?をご覧下さい。
↓の青文字が1.養育費の文例と書き方(テンプレート)になります。
甲は乙に対し、長女の養育費として
令和5年2月から令和22年年3月まで、
金5万円を毎月15日までに、長女の口座に振込み送金して支払う。
この文例は基本額の書き方で細かい条件の文例は掲載していません。
離婚協議の結果、養育費の条件が10個以上になるご依頼者様も多いです。
①養育費の終期(いつまで)について
養育費の終期(いつまで)は話し合いで自由に決定できますが、
学校表記(4年制大学卒業)ではなく年代や年齢表記の利用が望ましいです。
文例の「令和22年3月」は年代表記(4年制大学卒業月)となります。
②養育費の相場(平均)について
養育費の金額も終期(いつまで)と同じで自由に決定できます。
相場(平均)を知りたい場合は「養育費算定表」の利用をお勧めしています。
インターネットで検索すれば家庭裁判所のページがヒットします。
このページでお伝えしている養育費の相場は、
令和元年12月23日に公表された改訂算定表の情報に基づいています。
支払者(主に父親)にとって無茶な金額(給料が右から左)で合意すると、
仕事へのモチベーションが下がって未払いのリスクが高まるのでご注意下さい。
逆に支払者にとって無理のない現実的な金額で合意すると、
仕事へのモチベーションが保てるなど、養育費の支払率向上に繋がります。
詳しくは2.養育費の相場はいくら?5万円?4万円?をご覧下さい。
③養育費の支払日について
養育費の支払日も終期(いつまで)と同じで自由に決定できます。
給料日から5日以内にすると余裕を持って払えるのではないでしょうか?
養育費の支払方法は手渡しではなく振込を利用して下さい。
手渡しだと「払った」「もらってない」というトラブルを招くかもしれません。
④養育費の振込先について
養育費の振込先は親権者(主に母親)、子供どちらの口座でも構いません。
ただ「子供に払いたい」という支払者の意見をよく伺うので、
子供が1人の場合は子供名義、複数の場合は親権者名義をお勧めしています。
子供が複数いて子供名義に振込む場合は手数料の問題(手数料×人数)が生じます。
⑤養育費を払わないという合意について
最終的に「養育費を払わない(もらわない)」という結論を出しても、
「子供の成長に必要なお金」なので無効となり、離婚後いつでも請求できます。
ただし、支払者が離婚後の請求を受入れてくれるかは別問題です。
(例 離婚から3年後に状況が変わって養育費の請求をしたけど断られた。)
⑥養育費支払と再婚について
離婚後に支払者、又は親権者が婚姻(再婚)する可能性はあります。
養育費は親権者のお金ではなく子供のためのお金なので、
離婚した後に特別な事情が起きた場合はお互いが再請求出来ます。
再請求とは養育費の増額、又は減額のことを言い、
特別な事情とは病気・失職・減給・再婚などが考えられます。
一般的に再婚した場合は増額ではなく減額の請求になります。
あくまでも再請求ができるだけなのでその請求が通るとは限りません。
⑦離婚チェックシートを利用しませんか?
協議離婚で話し合う離婚条件は養育費だけではなく、
親権・面会交流・慰謝料・財産分与・年金分割などたくさんあります。
この離婚条件の情報は自分達で集める必要がありますが、
「有益な情報を集める方法がわからない」という問題を抱える方が多いです。
この問題を解消するのがオリジナルの離婚チェックシートです。
離婚チェックシートがあればこのページや他のページを読む必要はありません。
離婚協議書や離婚公正証書作成のご依頼を頂いた場合、
離婚チェックシートの送付&内容説明(90分程度)から始めています。
(離婚協議書や離婚公正証書の詳細はこちらをご覧下さい。)
当事務所には20代~30代のご依頼者様が多いので、
チェックシートには養育費と面会交流に関する質問を多く掲載しています。
全13ページ63個(養育費18個、面会交流13個)の情報を掲載しています。
具体的には↓のように○×回答の質問を多く掲載しています。
例1「養育費はいつまで払う?(選択肢は5つ)」
例2「養育費の条件を決める時に注意すべき点(解説)」
離婚チェックシートがあれば効率のいい離婚協議が期待できます。
ご依頼者様にも好評です。詳細は離婚チェックシートの内容と使い方をご覧下さい。
2.養育費の相場はいくら?5万円?4万円?
協議離婚は夫婦間の話し合いで解決を目指すものなので、
養育費の金額についてもお互いが納得すれば自由に決めれます。
つまり5万円・4万円・3万円・6万円・8万円であっても、
支払者(主に父親)が「払う」と言えば、養育費の金額は決定します。
ただ現実的に支払者が合意した金額を払えるかは別問題なので、
養育費の話し合いをする前に相場(平均)を知りたいと考える夫婦は多いです。
そこで役に立つのが「養育費算定表」です。詳細は↓で解説します。
↓は令和元年12月23日に公表された養育費算定表(改訂)で計算しています。
養育費算定表とは?
◇ 家庭裁判所のHPに掲載
◇ 年収をベースに金額を算出
◇ あくまでも参考情報として利用
先ずインターネットで検索すれば、家庭裁判所のページがヒットします。
次に養育費算定表は夫婦の年収をベースに金額を算出するので、
事前に源泉徴収票を用意して「支払金額(これが年収)」を確認して下さい。
(※ 一般的に源泉徴収票は毎年12月頃に勤務先から配布されます。)
そして夫婦の年収を養育費算定表に当てはめれば相場が算出されます。
支払者の年収が500万円で権利者(主に母親)の年収が50万円の場合、
養育費算定表に当てはめてみると「4万円~6万円」という相場が算出されます。
あとはこの相場をベースに話し合って養育費の金額を決定します。
(例 相場は4~6万円だから平均値の5万円にしよう。)
ちなみに養育費算定表の右上の文字を見ればわかりますが、
↓のように子供の人数と年齢別にページが分けられているのでご注意下さい。
表1「養育費、子1人表(子0~14歳)」
表3「養育費、子2人表(第1子及び第2子0~14歳)」
表6「養育費、子3人表(第1子から第3子0~14歳)」
つまり子供が3人(年齢14歳以下)いるのに表1を確認した場合、
子供の年齢は合っていても人数は不一致なので正確な相場を算出できません。
このケースでは表6を確認して養育費の相場を算出します。
Q養育費算定表通りに決めないといけない?
上述の通り、協議離婚では話し合いで金額を決めるので、
養育費算定表は絶対的な基準ではなく参考情報として利用します。
例えば、養育費算定表の相場が「2万円~4万円」であっても、
支払者が「子供のために5万円払いたい」と言うケースもあり得ます。
最後に養育費は「子供の成長に欠かせないお金」なので、
子供の将来のためにもよく話し合って金額を決定して下さい。
3.年収600万円の相場の計算方法
支払者(主に父親)の年収が600万円の場合、
養育費の相場(平均)はどうなる?という疑問を具体例を交えて解説します。
これから↓でお伝えする相場の計算方法については、
先述した養育費算定表を利用し具体例については架空の話となります。
↓は令和元年12月23日に公表された養育費算定表(改訂)で計算しています。
計算方法の例1
◇ 夫の年収は600万円
◇ 妻は専業主婦
◇ 子供は1人で年齢は3歳
◇ 子供の親権者は母親
養育費算定表(表1)は夫婦の年収を当てはめて計算します。
今回のケースでは「6万円~8万円」という相場が算出されました。
専業主婦ということで収入はないので「妻の年収は0円」となります。
そしてこの相場をベースに夫婦間で話し合った結果、
6万円~8万円の間(平均)をとって養育費は7万円で合意しました。
この「間(平均)をとる」という選択をするご依頼者様は多いです。
(※ 当事務所では離婚協議書や離婚公正証書の作成を行っています。)
計算方法の例2
◇ 夫の年収は600万円
◇ 妻の年収は75万円
◇ 子供は1人で年齢は16歳
◇ 子供の親権者は母親
◇ 子供は大学進学を希望
養育費算定表(表2)は夫婦の年収を当てはめて計算します。
今回のケースでは「8万円~10万円」という相場が算出されました。
子供の年齢が16歳なので表1ではなく表2で計算します。
そしてこの相場をベースに夫婦間で話し合った結果、
相場の間になる9万円ではなく養育費は10万円で合意しました。
間をとらなかった理由は子供が4年制大学への進学を希望していて、
これから予備校などの授業料や学費(入学金や授業料)がかかるためです。
(※ 子供の年齢が上がるにつれて塾代や学費など負担は増えます。)
ちなみに妻の年収は75万円で計算しましたが、
仮に100万円だった場合、相場は「6万円~8万円」とダウンします。
先述の通り、養育費算定表は参考情報となるので、
相場を算出した後は夫婦や子供の状況に応じて金額を決めていきます。
4.年収300万円の相場の計算方法
支払者(主に父親)の年収が300万円の場合、
養育費の相場(平均)はどうなる?という疑問を具体例を交えて解説します。
これから↓でお伝えする相場の計算方法については、
先述した養育費算定表を利用し具体例については架空の話となります。
↓は令和元年12月23日に公表された養育費算定表(改訂)で計算しています。
計算方法の例1
◇ 夫の年収は300万円
◇ 妻の年収は100万円
◇ 子供は1人で年齢は5歳
◇ 子供の親権者は母親
養育費算定表(表1)は夫婦の年収を当てはめて計算します。
今回のケースでは「2万円~4万円」という相場が算出されました。
仮に妻の年収が25万円だとしても同じ金額になります。
そしてこの相場をベースに夫婦間で話し合った結果、
夫からの提案もあり養育費は5万円(相場以上)で合意しました。
夫が相場以上の金額を支払うと決めた理由は2つあって、
1つ目は子供への愛情、2つ目は離婚後の住居費が0円で余裕があったからです。
(※ 離婚後、夫は実家に戻るので家賃の支払がありません。)
先述の通り、養育費算定表の金額は絶対的な基準ではなく、
協議離婚は夫婦間の話し合いで決めるので相場から外れることもあります。
計算方法の例2
◇ 夫の年収は300万円
◇ 妻は専業主婦
◇ 子供は1人で年齢は10歳
◇ 子供の親権者は母親
養育費算定表(表1)は夫婦の年収を当てはめて計算します。
今回のケースでは「4万円~6万円」という相場が算出されました。
妻が専業主婦なので計算方法の例1より高い相場が出ています。
そしてこの相場をベースに夫婦間で話し合った結果、
妻の考えを夫が受入れ養育費は7万円(相場以上)で合意しました。
妻は養育費算定表の金額が公平な基準だと理解していましたが、
「学費を確保したい」と考え、夫に相場以上の金額(7万円)を希望しました。
夫も「子供の将来のためなら」と考え受入れることにしました。
(※ 離婚後の収支を計算した結果、7万円なら払えると判断しました。)
ただし、将来的に妻が再婚する可能性を考慮して、
再婚した場合は金額変更の話し合いをするという合意も追加でしました。
計算方法の例1と同様に相場から外れて合意することもあります。
今回は相場以上の合意をお伝えしましたが相場以下になるケースもあります。
5.養育費の支払率を上げる方法
養育費が決まって離婚しても払う・払わないは別問題となり、
離婚後「本当に払ってくれるかな?」という不安を覚える方は多いです。
養育費の支払を確実に守ってもらう方法はありませんが、
支払率を100%に近づける手段として合意した条件の書面化があります。
書面とは離婚協議書、又は離婚公正証書を言います。
今回は強い効力を持つ離婚公正証書についてお伝えさせて頂きます。
詳細は離婚公正証書とは?で解説しているので↓では軽く触れます。
離婚公正証書のメリット
① 強制執行(差押え)ができる
② 支払者への心理的プレッシャー
③ 真剣な話し合いが期待できる
先ず離婚公正証書には①強制執行という効力があるので、
養育費の未払いが起きた時に支払者の財産を差押えることができます。
(例 養育費を払ってくれないから支払者の給料を差押える。)
この効力を求めて離婚公正証書を作るご依頼者様は多いです。
次に②支払者への心理的プレッシャーとは↓のような心理状態を言います。
例1「養育費を払わないと差押えをされる。」
例2「給料の差押えを受けると会社に知られる。」
離婚公正証書=強制執行というイメージが強いですが、
裁判所での手続きを考えると差押えをしないに越したことはないので、
原案作成のご依頼を受けた場合はこのプレッシャーを重要視して作ります。
原案とは合意した条件をまとめたもので公証役場へ提出するものです。
このプレッシャーがあることで「養育費を払おう」という気持ちが高まります。
最後に協議離婚は夫婦間の話し合いで解決を目指すので、
各夫婦によって「話し合いの質や量」に差が生じることになります。
(例 1日でも早く離婚したいから適当に養育費の約束をした。)
質が高いということは③真剣な話し合いと言えるので、
「合意した条件は守ろう」という双方の意識が高まることに繋がります。
この意識の有無が養育費の支払率に大きな影響を与えます。
Qどうすれば質の高い話し合いができる?
上述の通り、離婚公正証書には①や②といったメリットがあるので、
作ることになれば、自然と「適当にできない」という気持ちが高まります。
つまり離婚公正証書を作るという行為自体にもメリットがあります。
こういう訳で協議離婚で養育費の合意をした場合は、
口約束で終えるのではなく離婚公正証書の作成を検討して下さい。
離婚公正証書完成までのハードルは高いですが作る価値は十分あります。
6.離婚協議書や公正証書を作るか悩んでいる方へ
「安心感が生まれて後悔しないものを作りたい」と考えているはずです。
「安心感や後悔」(思い)にこだわるのであれば、以下2点がポイントになります。
・夫婦間で離婚条件について話し尽くすこと
・離婚協議書や公正証書には細かい条件まで記載すること
当事務所ではご依頼者様のこの思いを大切にしたいので、
契約期間を設けずに時間をかけて離婚協議書や離婚公正証書の作成を進めています。
もちろん料金は「○万円~」ではなく固定料金なので、
どれだけ時間がかかっても追加料金は頂きません。安心して下さい。
この結果、質と内容の伴った離婚協議書や公正証書ができています。
当事務所では正式なご依頼の前に無料相談から始めています。
無料相談を通して、私(行政書士の辻)との相性や経験値を確認して下さい。
相談中・相談後に依頼を求めるような営業行為はしないので安心して下さい。
先ずは無料相談から始めませんか? → お問合わせ
お気軽にご利用下さい。お問合わせをお待ちしております。